※刺されて30分以内に、じんましんや息苦しいなどの刺された箇所以外に症状が出ている場合はアナフィラキシーショックの可能性が高いです。今すぐ救急車を呼んでください。
巣から離れる
まずはその場から離れましょう。さらに続けて刺される可能性があるからです。蜂は針から興奮物質を出すため、他の蜂が集まってくることがあります。30メートル以上離れることをおすすめします。
傷口を流水で良く洗う
水道水やペットボトルのミネラルウォーターなどで刺された箇所を良く洗って下さい。なければ、お茶などでもかまいません。
毒は水溶性のため、少しだけでも洗い流せます。尿をかけるというのは迷信です。
針が残っていたらそっと抜く
ミツバチなどは自分の針を相手に残します。そしてどんどんと毒を送り出します。指でつまんで抜こうとすると、逆に毒を押し込んでしまう場合があるので、払うようにして抜いて下さい。ピンセットがあれば一番ですが、無ければキャッシュカードなどの端で肌を滑らせるように擦るといいでしょう。
ミツバチ以外の場合は、針が残っていることはまずありません。
毒液を絞り出す
爪などで皮膚をつまんで毒を絞り出します。口を付けて吸うのは止めましょう。口の中に傷があると、そこから体内に入る可能性があるためです。
ポイズンリムーバーなどの道具があれば効率よく毒を出せます。空のペットボトルを凹ませてボトルのクチを刺された箇所に当てることでも少しは毒を吸い出せます。
抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏
昔はアンモニアが効くと言われていましたが、皮膚に塗っても中に入った毒には届かないため効果はありません。おしっこも同様です。そもそも出したばかりの尿にはアンモニアは含まれていません。
副腎皮質ホルモン含有の抗ヒスタミン軟膏(ステロイドの軟膏ですね)を塗りましょう。薬局へ行って蜂に刺されたと伝えるといいでしょう。ステロイド入りの軟膏がなく、よくあるかゆみ止めしか持ち合わせがない場合は、できるだけこまめに塗るようにして下さい。
濡れタオルなどで冷やす
濡れたタオル、できれば氷や保冷剤などで患部を冷やします。冷やすことで毒が血管から吸収されにくくなります。また炎症を抑えた方が跡が残りにくいでしょう。
安静にする
血液の巡りが良くなると、腫れがひどくなってしまいます。手足を刺された場合は、心臓に近い方を紐などでしばるのも有効です。血が完全に止まると危険なので、数分間隔でゆるめてください。
刺された日は、お風呂、飲酒、運動などを控えて大人しくしておきましょう。
病院は?
以下に述べるショック症状が出たら迷わず病院へ行って下さい。30分経ってもショック症状が出ていないなら、とりあえずは安心です。刺されたのが1箇所だけであまり腫れず、刺された箇所以外に何の症状も出ていないなら病院へ行く必要はありませんが、不安な方は行ってください。痕になるのが嫌な方も。刺されたハチがスズメバチの場合は、念のために病院へ行って下さい。
二回目の方はアナフィラキシーショックに注意
蜂の毒よりも、毒に対するアレルギー反応が恐いのは知っていると思います。アナフィラキシーショックです。
アナフィラキシー反応が出る可能性はそれほど高くありませんが、スズメバチに刺された場合は応急処置をした後に念のため病院へ行っておきましょう。刺された回数が多いほど、症状が重篤化します。
脈が速い、顔面蒼白、呼吸困難、意識の低下、じんましん、吐き気などがあったらアナフィラキシーの可能性が高いです。
通常、蜂にさされてから15分以内に症状が出ます。この場合は遠慮せずに救急車を呼んでください。
横になって足を少し高くしてください。嘔吐によって窒息しないように、顔を横向きにしましょう。
心肺停止になった場合は、心臓マッサージです。人工呼吸はあまり意味が無いと言われています。それよりも心臓マッサージです。運良く近くにAED(自動体外式除細動器)があれば使いましょう。AEDが配備されている山小屋も増えています。
ひどいショック症状が出なくても、刺された部分以外に症状が出たら病院へ行きましょう。自分で車を運転していくのは危険です。運転中に症状が悪化して事故に繋がる可能性があるためです。
エピペンを持っておくと安心
山などへ良く行く方は、蜂毒の抗体検査を受けておくといいでしょう。(蜂にさされてから1ヶ月後くらいに検査すると、抗体ができているかわかります)
そしてアドレナリン自己注射薬(エピペン)を医者に処方してもらって持っておくと、いざというときのお守りになりますね。
エピペンは、アナフィラキシー症状がでたときに自分で注射をすると、症状を抑えることができます。処方可能な施設は限られていますが、2011年9月から保険適用になったため、3,000円程度で手に入ります。
山で仕事をするような方は、お守り代わりに持っておきましょう。
アレルギー検査した方がいい?
二回刺されたからと行って必ずショック症状が出るわけではありませんが、次に刺されたらどうなるか心配ですよね。
直後に検査してもまだ抗体ができていないので、刺された1ヶ月後くらいに、皮膚科やアレルギー科で血液検査を受けるといいでしょう。
IgE-RAST検査では、一度に13項目までのアレルゲンを選んで検査できます。(健康保険でそう決まっています。)
蜂は、ミツバチ、スズメバチ、アシナガバチの検査をすることが可能です。
アレルギーが分かった場合は、免疫療法で治療することもできますが、保険の効かない自由診療のため高額です。
林業や養蜂、害虫駆除などリスクの高い仕事をしている場合以外は、エピペンで対処するのが現実的です。